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女性に多い頭痛

片頭痛と女性について

片頭痛と女性について片頭痛は、頭の片側または両側のこめかみ付近に痛みが起こる頭痛です。ズキズキとした痛みが特徴で、女性に多く見られ、月に1~2回、多い場合は週に1~2回発生します。
仕事や家事に支障をきたす要因にもなり、中には「痛みで外出できなくなった」という経験をした方もいらっしゃるかと思います。
ここでは、なぜ片頭痛が男性よりも女性に多いのか、原因と関係性などについてまとめています。

片頭痛

女性が片頭痛になりやすいのはなぜ?

日本では、約1/3の割合で一次性頭痛を抱えているとされています。一次性頭痛とは、他の病気が原因ではなく、頭痛そのものが病気である頭痛のことです。一次性頭痛の1つである「片頭痛」は、女性がかかりやすい頭痛です。全国調査によると、片頭痛の有病率は男性が3.6%、女性は12.9%と言われています。つまり、男性の約3.6倍の女性が片頭痛に苦しんでいることが確認できるのです。
片頭痛は20〜40代の女性に多く、30代では20%、40代でも18%と高い有病率を示しています。
片頭痛が女性に多く見られる原因としては、以下の要因が挙げられます。

  • 女性ホルモンの変動:生理や排卵、更年期などによるもの。
  • 遺伝的要因:片頭痛は女性に遺伝しやすいとされています。
  • 文化的背景:男性よりも女性の方が痛みを訴えやすい傾向にあります。

特に30〜40代の女性に多く発症する理由としては、妊娠や出産などのライフイベント、女性ホルモン量の変動、仕事や育児、介護などによるストレス、そして更年期・閉経が挙げられます。

女性ホルモンと片頭痛の関係性

生理に関連する片頭痛の特徴

近年、女性ホルモンと片頭痛の関係が注目されています。多くの女性が生理の数日前や生理中に頭痛を訴えますが、これは生理周期に伴う女性ホルモンの低下が原因とされています。
女性ホルモンには「エストロゲン(卵胞ホルモン)」と「プロゲステロン(黄体ホルモン)」の2種類があり、これらのホルモンは約1ヶ月の周期で増減し、生理(月経)を引き起こします。特にエストロゲンが片頭痛の発現に関与しているのではないかと指摘されています。
エストロゲンは生理が終わると排卵に向けて増加し、排卵時に急激に減少します。その後再び増加し、次の生理に備えて再び減少するというサイクルを繰り返します。エストロゲンの急激な減少時には、脳内の神経伝達物質であるセロトニンやカルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)のバランスの変化が関わっています。これにより、神経の炎症や頭の血管の拡張が起こり、頭痛が発生するとされています。
このように、生理によって引き起こされる片頭痛は「月経時片頭痛」と言われています。
月経時片頭痛の特徴は下記の通りです。

  • 前兆がほとんど見られない
  • 頭痛発作が長時間続く
  • 吐き気などの症状がひどく、重症化しやすい
  • 一度治まっても再発しやすい
  • 鎮痛薬を飲んでも効き目が現れにくい

女性ホルモンの変動に応じて、生理前には様々な不調「月経前症候群(PMS)」が現れることがあります。PMSとは、イライラ、眠気、不安などの精神的症状や、腹痛、乳房の張り、腰痛、頭痛などの身体的症状が生理前に見られる不調です。
PMSによる頭痛は、生理前から生理中にかけて起こりやすく、片頭痛と似た症状を示すため、「この頭痛はPMSによるもの」と思われがちですが、実際には片頭痛として生じているケースもあります。
頭痛の種類を正確に見極め、適切に対処することが重要です。
頭痛の種類を見極めるためにも、頭痛ダイアリーを使ってみましょう。頭痛の頻度や起こった時期、きっかけ、痛みの程度、痛む箇所などを記録すると、医師に症状を伝えやすくなり、対処の参考にもなります。
PMSの専門は婦人科ですが、頭痛でお悩みの場合は頭痛外来などの頭痛専門医を受診するのが望ましいです。