こめかみとは?
こめかみ(米噛み)は耳の上にある側頭部です。実際に食べ物を噛んでみると、動くのが分かります。
こめかみが痛むのはなぜ?
その原因について
片頭痛
片頭痛は、三叉神経から分泌される「CGRP」と呼ばれるペプチドによって発生する病気です。こめかみや目の奥をはじめ、頭部、後頚部、顔面などがズキズキと脈打つように痛みます。
特に若い女性に多く見られ、1ヶ月に1回程度の頻度で繰り返し発症する傾向にあります。
症状が現れる前に、目の前がチカチカしたり、話しづらくなったりするなどの前兆が見られることがあります。
また、軽い頭痛から始まることもあります。正確な診断と頻度や重症度の評価、他の原因の排除を行うために、医療機関を受診することが重要です。
その後、予防薬などを用いて適切な治療を行います。
緊張型頭痛
緊張型頭痛は、日本人に最も多く見られる頭痛の1つです。ストレスや緊張によって体が緊張した時に発生しやすく、頭や後頭部が締めつけられるように感じられます。長時間同じ姿勢を続ける習慣や、パソコンやスマートフォンの長時間使用、長距離運転などによって筋肉の緊張を引き起こし、頭痛を招くとされています。
慢性硬膜下血腫
慢性硬膜下血腫は、頭部外傷によって硬膜と脳の間に血液が徐々に溜まった結果、血腫が生じる病気です。
高齢者に多く見られます。少量の出血では症状が現れないことが多いのですが、血液が溜まると脳が圧迫され、頭痛や麻痺、意識障害が生じることがあります。軽度の場合は薬物療法による経過観察で済みますが、症状があった場合は、手術が必要です。
その場合は、当院と連携する医療機関への紹介を行います。
くも膜下出血
くも膜下出血とは、くも膜下腔(くも膜と脳軟膜の間にある、脳脊髄液がある空間)の動脈が破れて出血する病気です。
こめかみや後頭部に痛みが引き起こされることがあります。
出血量が多くなると頭蓋内圧が上昇し、突然意識を失うこともあります。再度出血が起こると命に関わるため、迅速な治療が必要です。
くも膜下出血が疑われる場合は、連携する医療機関へご紹介します。
脳腫瘍
大きくなった脳腫瘍によって脳が圧迫されると、麻痺やけいれん、頭痛、めまいが引き起こされます。脳腫瘍と一口に言いましてもその種類は多種多様で、短期間で急速に成長するものもあります。
眼窩内の腫瘍や三叉神経鞘腫などは、小さくても痛みを引き起こす恐れがあります。
脳腫瘍は症状がない場合、経過観察を行うことがほとんどです。ただし、症状が現れた場合や、画像診断で病理の確認が必要と判断された場合には、手術が必要です。
側頭動脈炎(巨細胞性動脈炎)
側頭動脈炎は、自己免疫機能が血管の壁を攻撃し、炎症を起こしてしまう病気です。特に、側頭部の動脈の炎症がよく見られます。
炎症が生じると、炎症した部分が熱を持ち、腫れて痛みます。鎮痛薬で一時的に痛みを和らげることは可能ですが、原因そのものに対処する治療が必要ですので、免疫に対する専門的な治療が行われます。そのため必要だと判断した方には、連携先の医療機関へご紹介します。
歯痛
虫歯や歯肉の痛みにより、こめかみも痛くなることがあります。この場合は特に、奥歯の痛みがこめかみにまで拡がっているケースがよく見られます。
痛みが治らない場合は、早めに歯科へ相談し、治療を受けるようにしましょう。
睡眠不足・不眠によって
頭痛が悪化した場合
寝不足や不眠は、緊張型頭痛や片頭痛を悪化させることがあります。片頭痛は、片側のこめかみから目にかけてズキズキと脈打つような痛みが特徴で、光や音に敏感になることもあります。片頭痛は睡眠不足だけでなく、ストレスや天候・気圧の変化によっても引き起こされます。
一方、緊張型頭痛や睡眠時無呼吸症候群の場合は、安定した睡眠を確保することで頭痛が軽減される可能性があります。