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物忘れが多くなった

物忘れと認知症

物忘れと認知症記憶には「情報を覚えること(記銘)」「情報を保存すること(保持)」「情報を思い出すこと(想起)」の3つのプロセスがありますが、物忘れはこのうち「想起」の障害を指します。物忘れには、老化とともに起こる生理的な記銘力障害(情報を覚えることが難しくなる)と、病的な「認知症」の2種類があります。
例えば、「その日の朝食の内容を思い出せない」という症状は、老化による記銘力低下と考えられますが、「朝食を食べたこと」自体を忘れる場合は、病的な可能性が高いです。
病的な物忘れの中で最も一般的なのはアルツハイマー病で、日常の出来事や思い出の記憶(エピソード記憶)が初期から障害されることが多いです。一方、初期段階では記銘力障害があまり強くない場合もあります。注意力や遂行能力障害が目立つレビー小体型認知症なども存在します。

認知症とは

認知症は、記憶や見当識(日時や場所の認識)、言語や計算、認識、思考、意欲、判断力など、脳の多様な認知機能が持続的に障害される状態です。
これにより、仕事でのミスが増えたり、食事の準備ができなくなったり、金銭管理が困難になったりするなど、日常生活や社会生活に悪影響を及ぼします。
また、不安やうつ症状、幻覚、妄想、不眠、興奮などの行動・心理症状が出ることもあります。
代表的な認知症として、アルツハイマー病、血管性認知症、レビー小体型認知症、高齢者タウオパチーなどが挙げられます。
また、軽度認知症の場合は、脳機能が低下しているものの、日常生活を過ごすことは可能です。
認知症に似た症状が見られる疾患として、せん妄やうつ病などの精神疾患が挙げられます。認知症の症状は、原因となる疾患によって異なり、記憶障害がほとんどないケースもあります。

加齢による物忘れと
認知症による物忘れは
どう違うのか

加齢によって起こる物忘れ

年齢を重ねると記憶力が低下し、物忘れが生じることがあります。これは病的な物忘れとは異なり、周囲から指摘されると忘れていたことを思い出せます。
進行速度は極めて遅く、トレーニングなどである程度進行を抑えることが可能です。

加齢によって起こる物忘れの特徴

  • 「自分は物忘れが多い」と認識できている
  • 出来事や体験自体は記憶できているが、細かい部分を忘れている
  • 習慣的に行っていたことは問題なくできるため、日常生活に支障をきたしていない
  • 状況に応じた適切な判断が行える

認知症によって起こる物忘れ

出来事や体験そのものを忘れてしまうことが特徴です。記憶力をはじめ、理解力、思考力、学習能力、計算能力、判断力、言語能力などの認知機能も低下します。指摘されても思い出せない場合は、認知症の可能性が疑われます。また、認知症の原因となる病気の中には、根治できないものと根治できるものがあります。

認知症によって起こる物忘れの特徴

  • 物忘れが多いことに気付いていない
  • 出来事や体験そのものを忘れている
  • 習慣的に行っていたことができず、日常生活に悪影響を及ぼしている
  • 状況に応じた適切な判断ができない

せん妄について

せん妄についてせん妄は、意識がもうろうとし、注意力が散漫になり、時間や場所の認識ができなくなる状態です。幻覚や錯乱、興奮などの症状が突然現れ、その症状も激しく変動します。この状態では意識がはっきり認識できず、その間の記憶が障害されます。
せん妄は、肺炎など体に負担がかかることが引き金となって発症します。治療では、まず原因となる病気の治療を優先し、それでも症状が治まらない場合は、幻覚や興奮の改善に期待できる薬物療法を実施します。高齢者が突然「いない人が見える」と言ったり、辻褄の合わないことを言ったり、興奮して夜眠れなかったりする場合は、せん妄が疑われます。せん妄は体の病気によって起こるケースが多いため、速やかに検査を受ける必要があります。

以下の症状に
心当たりがありましたら
当院へご相談ください

診察以下のような症状がひどくなった場合は、認知症の初期症状として起こっている可能性が考えられます。周りの方から、これらの症状についての指摘を受けた場合は、ぜひ一度でも専門家の検査を受けることをお勧めします。
また、症状に気付いたご家族などの方々は、感情的にならずに落ち着いて受診を勧めるよう配慮しましょう。

  • 人や物の名前を思い出すことができない
  • 食事をしたことを忘れる
  • 歩きなれた道なのに迷子になった
  • 適切な判断ができなくなった
  • 物を置き忘れる、収納し忘れる
  • 物事をやりかけたまま放ってしまう
  • 一度聞いたことを頻繁に聞く
  • すぐに怒る、落ち込む、はしゃぐようになった
  • 意欲が薄くなった